「それだけか」
「それだけか」
若い頃、大阪のトヨタ系販売店に勤務していた。
私の勤めた会社はオート店と言って大衆車を販売する会社から
スタートした系列であった。
また、日産系列からトヨタ転換した唯一の会社だったので、
大阪の販売店の中でも毛色が違っていた。
ともかく、後発というポジションが長く続き、
先行する他社の動きが羨ましい限りという状況だった。
私は「コンピュータをやりたい」と言って就職したが、
NCRの会計機が給与計算や販売統計を処理するだけの状況で
他社がDMなどを自社で作成する状況に「憧れて」いたのだ。
故福井社長がトヨタや社内が反対する中、
「これなら、わしのポケットマネーで買ってやる」
と言って、IBMが発表した世界初のオフコンを導入してくれたのだ。
当然、給与計算や販売統計を引き継ぎ、システムを完成させた後、
「会社再建5カ年計画」の一つに「車検DM」を決めた
という事があった。
いろいろとトヨタにも相談したが、
結局、車検到来期の注文書を引き出してデータ入力する
という方法で念願の「車検DM」を作成したのだった。
当時、オイルショックの影響で新車販売が前年比70%と低迷する中、
「とっちゃん、知らん顔の人が入ってくる」
という営業所から「うれしい」電話がある程に効果を出して
サービス部門が前年比150%と成長して
新車販売依存体質から脱出できて会社の窮地を救ったのだった。
こんな出来事からスタートして、
次々とコンピュータの発展と共にシステムを充実させたのだった。
ある日、同業他社が「ICカード会員」のシステムを発表したので、
故福井社長から話を聞いて来るように指示されたのだった。
同社に伺うと
従来から顧客サービスで会員用にタブレット誌を発刊されており、
当然、「オイル会員」なども充実されていたが、
その上に「ICカード」を発行して特典を付与する
と聞いて帰ったのだ。
この件を報告して「うちも・・」と言ったところ
故福井社長は「それだけが決め手ではない」とおっしゃり
自社の独自性を出すように指示されたのだった。
この「それだけか」という一言が重みになった。
いろいろと模索したが、IBMが「SISセッション」を提案してくれて
バランススコアカード(BSC)で
「財務」「顧客」「業務プロセス」「学習と成長」
4つの視点を教えてくれて、
その中から「テレマーケティング」が浮かんだのだった。
翌年、IBMの交換機と連携したテレマーケティングシステムを構築して
電話オペレーター4名を雇い、主に車検期のお客様に勧誘のコール
を実施したのだった。
車検DMが届くタイミングでコールするので効果的であった上に、
これから「セルシオ」を買いに行くという情報を掴んで、
即座に営業所にフィードバックして「アリスト」を成約した
という偉業を起こしたのだった。
確かに「ICカード」も顧客視点に立ったサービスだったが、
あくまでも受動的なシステムだったので他社は追随しなかった。
うちは「テレマーケティング」を交換機と連携して開発したので
「車検期」のデータを画面表示して随時コールするシステムで
システムが能動的に稼働させる仕組みだったのだ。
IBMのSISセッションでBSCを学び、
「顧客」「業務プロセス」の2つを連携する
「テレマーケティング」を構築できたことは大きな成果だった。
ホンマ、今も「それだけか」という故福井社長の問を胸にしまい
いろんな課題を多角的に分析して解決するBSC的手法を身につけた
ということが誇りに思っている。
| 固定リンク
« 足元 | トップページ | 「フローとストック」 »


コメント