経営者として「V字回復」は響きのよい言葉ですが、実践は難しいのです。
売上が右肩下がりで収益が圧迫されて赤字基調になるとこの状況から脱出する為にいろんな策を打つ訳ですが、なかなかヒットしないのが現実です。
まず、売上が下がるというので「商品・技術・サービス」の見直しを行うのですが、中小零細企業の場合、大ヒットするものが見つかっても資金力に欠けるのです。
そこで、「頑張って来い」と体育会系の掛け声が強くなるのです。
確かに、人間関係がベースなので、その掛け声も重要なのです。
しかし、それにも限界があります。
次に、経費の見直しを行うのです。
電話やコピーは業者の方からコストダウンの提案があるのでやり易いのですが、意外に自動車は見切りが付かずにダラダラと使っているのが現状です。
自動車を減らすと不便になるのですが、それを乗り越える事も重要です。
それでも浮いてくる経費は大きいものではないのです。
やはり、人件費が一番高いのです。
定年退職や自己都合で辞める人が出た時に補充をかける会社が多いのですが、それを思い切ってやめて少人数化による少数精鋭化を図る勇気が必要です。
首を切るというのは最終手段として、その前に賞与のカットや給与の減給などもやるのです。
営業所を閉めたりすると風評被害が出るとして、なかなか踏み切れないのが現実で、ほぼ首切りになるので家賃の安いところへ引っ越しなどを行うのです。
通勤費が増える可能性があるのですが、交通事情で退職者が出る可能性があります。
こんな風に厳しい段階まで進めて「まずは黒字化」を図るのです。
「黒字」になれば、いろんな事柄に余裕が出て来るのです。
従って、「V字回復」の最初の課題は如何にして黒字化するかなのです。
その時に、人情で踏み切れないとダラダラと赤字の垂れ流しになるのです。
人を減らすという事でも、お客様を見直したら「集中と選択」で逆に売上も収益も回復するケースが多いのです。
すなわち、赤字体質を脱却する手立てとお客様を見直して「集中と選択」を同時並行で行うのです。
ロングテール層という少額取引先は自社の取引条件を明確にして、それに合わせて頂ける客先だけを相手にすることが大切です。
配達や運賃そして梱包費・事務経費などを考慮すれば、儲かっていない客先が多いのです。
あるお客様が「沈んで行く船と同じで浸水を止めるのが先決だ」とおっしゃいましたが、まさに「浸水」を見逃してはいけないのです。
それを痛感しています。
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