フルスイング
■「フルスイング」
NHKが今日、1月19日のPM10:00から放送する番組で
「フルスイング」(全6回)
という番組の告知編を見ました。
プロ野球のコーチから高校の教師に転身された高畠さんの物語です。
私は、高畠さんの現役時代もコーチとしての活躍も知らなかったので、
早速、NHKのホームページで調べると
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【ドラマのストーリー】
「教える」ことに人生の全てを捧げた一人の男がいました。
打撃コーチ高畠導宏さん。
七つのプロ球団を渡り歩き、落合、イチロー、小久保、田口を始め、
30人以上のタイトルホルダーを育てた名伯楽は、
還暦間近で福岡の高校の教師になりました。
高畠さんは30年のコーチ人生で培った優れたコーチング力で、
悩める思春期の子どもたちと現場の教師たちを大きく変えていきます。
自ら、悩み、迷い、葛藤する姿をさらけ出す素敵さ。
高みから何かを教えるのではなく、「生きる力」を伝えようとする熱意。
「俺だけの先生」「私だけの先生」と子どもたちに思わせる
「好きにならずにいられない」教師の姿がそこにありました。
わずか1年でがんに倒れ、志半ばで逝去した新米教師「高さん」と、
彼の思いを受け止め、成長していく子どもたちと教師たちの感動の実話を
ドラマ化します。
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とありました。
また、別の個所で、実際に、高畠さんを取材して、
実話として語られるなかに
「大きな耳 小さな口 優しい目」
と言う3つのキーワードがありました。
コーチとしての極意なのです。
これは、どれも平凡なことであり、誰でも実践できて、
しかも、どんな環境にも通じることと思います。
私は、この3つのキーワードに共感するのです。
「えっ? 何で、経営コンサルタントなのに?」
と驚かれる方もおられると思いますが、
人の能力を引き出す仕事は、同じなのです。
高畠さんのプロ野球コーチとして
落合、イチロー、小久保、田口を始め、30人以上のタイトルホルダーを
育てた名伯楽の生の言葉なのです。
■「大きな耳」
言葉として「大きな耳」を理解していても、現実には、難しいのです。
相手の言うことを受け止めることが重要だと分かっていても、
ついつい、自分の意見や尺度を押し付けようとしてしまうのです。
私は、「大きな耳」=「受容力」と解釈しています。
「受容」(受け止めること)が大切なのですが、
落合選手やイチローという選手のフォームは、
多分、並のコーチでは、受け止めることができないと思うのです。
よく、巨人軍に優秀な新人が多数入団しても、
なかなか大きく育たない原因の一つに「OBコーチ」の存在が指摘されて
います。
ビッグ・ネームのOBが、たまに練習を見に来て、持論を振りまいて、
しかも、入れ替わり立ち替わりの状態になってしまい、
「弄る」という結果になって、「成長の芽」をつぶしてしまう
と言われています。
もし、落合選手やイチローが巨人に入団していたら、
やはり、弄り回されていたと思います。
落合選手もイチローも「自分流」が強いのです。
船井先生は「長所伸展法」を教えてくださっていますが、
これらの「自分流」を長所と受け止める眼力は、
にわかOBコーチでは、まず、あり得ないことと思います。
この事は、「経営コンサルタント」などの職業にも同じなのです。
ジックリと取り組む気持ちが欠けると
相手を「翻弄」するだけに終わるのです。
にわかな時には「受容」という事が発揮し難いのです。
自分の「尺度」や「流儀」が基本になってしまい、
相手を「受容」するよりも「押し付け」の方が働くのです。
とくに、若い人と接する時には、
こんな弊害を出さないように心がける事が重要なのです。
「改善」という前に、相手を「受容」するという事が第一歩なのです。
■「小さな口」
そして、次に重要なことは「あれこれ」と言わない事なのです。
私の経験でも、恩人である福井社長も十河専務(当時:トヨタオート大阪)
は、新米社員であった私の意見に耳を傾けてくださって、
「栩野君、いい意見だ。まとめて来い。」
とおっしゃっるだけでした。
全部が全部、採用された訳ではないですが、
ともかく、レポートとして何度も提出した事を思い出します。
そして、「期待している」という一言で、
何億円というコンピュータ・システムの開発を任されたのです。
これは、男として「やるしかない」のです。
夢中で勉強したのを思い出します。
私は、こんな経験を持っていますので、お客様の新人さんにも
「期待しているよ」
と一言、声をかけるようにしています。
そして、次からは、出会った時に
「元気にやっているか?」
と声をかけるようにしています。
こんな会話ですが、段々、距離が縮まって、
ついには、若い人から相談を受けるようになるのです。
この時は、コンサルタント冥利につきる嬉しい感激に包まれます。
出来るだけジックリと聞くように心がけていますが、
たまに、時間に追われている時もあるのです。
こんな時は、出来るだけ聞くようにして
「ありがとう。少し時間を頂戴」
と言って分かれるようにしています。
■「優しい目」
高畠さんの言う「優しい目」は、
「相手が相談に来るまで待つ」
という懐の大きさなのです。
何かを教えたとしても、その結果が出るまで時間がかかるのです。
特に、相手が真の意味で「腑に落ちる」というまでには、
辛い「実践」という段階を踏む必要があるのです。
「壁」という言葉がありますが、
本気で「壁」にぶつからない限り、どんな良いアドバイスも活きないのです。
選手が、何度も何度も「反芻」して、
しかも「壁」を乗り越えようとする意志がみなぎっている限り、
こちらから「あれこれ」言う必要がないのです。
安易に相談に乗ってはいけないのです。
アドバイスを理解して「腑に落ちる」状態になったのなら、
トコトン実践して「壁」をぶち破る気力・根性が必要なのです。
安易な状態では「気力・根性」が安易なものになってしまうのです。
これは、教える側が特に、戒める必要があるのです。
「小さい口」という事がありますが、
とかく、あれこれとうるさくアドバイスしたくなるものです。
母親と息子の状況を見ていると良く分かるように、
余り心配でたまらない気持ちでは「過保護」になってしまい、
逆に、伸びようとする若い気持ちに「うざい」存在になってしまうのです。
「親」という漢字は、
「木の上に立って、一段高いところから見る」
と書くと言いますが、
あれこれと口出すのは「逆効果」なのです。
福井社長も十河専務も
「栩野君、進んでいるかね」
とよく声をかけて下さいましたが、
内容については、任せてくださったものです。
「優しい目」は、この途中にかける「声」にあると思います。
気にかけているという声が
「君を見守っている」
という証拠になるのです。
どんな人であっても
「気にかけてもらう」
という事が大きなパワーになるものです。
私は「愛語回天」とトヨタの先生から学びましたが、
この「フルスイング」の高畠さんから、
「大きな耳、小さな口、優しい目」
が、落合選手やイチロー選手のような大選手を生み出した事を学び、
「ソツ(ロ+卒)啄」(ソッタク)という永遠のテーマに
大きなヒントを得た感じがしました。
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