皆さん、「第3の利益」って耳にしたことがありますか?
「えっ!」と耳を疑う方が多いと思います。
普段、使いませんよね。
実は、「業務改善」を勉強した時に教わった言葉です。
「損益計算書」ってありますが、PLと略すのですが、
これも普段は見ませんよね。
PはProfit(利益)で
LはLoss(損失)です。
あわせて「損益計算書」という訳です。
このPLの構造は、
・第1の利益として、「売上ー原価=粗利益」が計算されます
・第2の利益として、「粗利益ー販売管理費=営業利益」が計算されます
・第3の利益として、「営業利益ー営業外収支=経常利益」が計算されます。
という3段階が主になっています。
ちょっと難しいのですが、
良いヒントがありますので、読み続けてください。
「第1の利益」は、「売上ー原価=粗利益」ですから、日常活動そのものです。
皆さんも具体的に体感できるものと思います。
この分野のコンサル術としては、
・売上を促進する
・徹底したコストダウンをはかる
の2種に大別できます。
私は、どちらかと言うと「売上促進」の方に属します。
ここについては、別の機会に詳細に書きたいと思います。
「第2の利益」は、「粗利益ー販売管理費=営業利益」
として表されますから、すでに「粗利益」は決定しているので、
「販売管理費」のコストダウンが主な焦点になります。
「販売管理費」という項目は、案外、予算化されていて固定化する傾向が
あるのです。
これを変動費化することが改善ポイントです。
固定化し易いものの代表格は、「人件費」です。
それって「人」じゃない?という方もおられます。
まさに、その通りなのです。
「レンガ積みの法則」を何度もご紹介していますが、
「人」は「気持ち」に大きく左右されるのです。
前号(5月30日)で「切に生きる」という道元禅師の逸話にもあったように
「死ぬ」(終わり、期限)を知らないと「志」が出来ないものなのです。
「終わり」=「目標」と置き換えると、
朝、出勤の為に最寄駅に向かって歩くスピードと
途中で忘れ物に気付いて取りに帰るスピードとでは
ビックリするほど格段に違います。
それと同じで、「単純にレンガを積んでおけ」という指示だけで作業する人は、
終わりが見えない状態なのでダラダラとなりやすいものです。
この終わりが見えないでする作業の効率を「1」とすると
目標を与えてしてもらえる作業効率は、ナント「1.6」に跳ね上がるのです。
1.6倍ですよ!
これは大変です。
実際、私の経験でも、サービス工場のフロント(営業)活動を改善して、
「平準化」という視点で、修理・点検のクルマを入庫促進して確保すると、
夕方に、突発的に入る「特急作業」がグーンと減るのです。
あるサービス工場ですが、それまで特急作業に振り回されて、
夜の8時9時は当たり前という状況だったのです。
そのために、残業食にパンを買っていたのですが、
パンが必要としない7時には、終っている状況になったのです。
しかも、売上は2割(6割だったら良いのですが)ほど増えたのです。
このように、「平準化」と「計画管理」という視点で大きくイノベーション
できたのです。
このように「ターゲット」を明確化することが重要なのです。
コンサル業界では「ヒト化」というのですが、
単なる作業から「目標」に向かって仕事するスタイルへシフトさせる
ことがポイントです。
口頭でこんな資料を作って欲しいと頼むよりも、
具体的に前回の資料を例示して、こんな具合に資料をまとめて
と頼む方が、品質もスピードも格段に向上します。
「ヒト化」のポイントは、実は、教える側のコミュニケーション力に
大きく依存する部分があるのです。
大手企業では、正社員でないと出来ない仕事とスポット仕事で専門性の
高い仕事に分けて派遣社員化しているのが現実です。
極力、人件費も変動費化して、目的に応じた人を集めるのが、
「第2の利益」のために有効な手法と言えるのです。
その他、「第2の利益」には、
予算化した経費(広告費・交通費・通信費・図書費など)を見直す、
例えば、読まない業界新聞なども再検討する必要があります。
もう、いい加減、長文だなぁ!という声が聞こえそうですが、
これからが本題の「第3の利益」に入るのです。
もう少し、お付き合いください。
☆「第3の利益」
第3の利益は、「営業利益ー営業外収支=経常利益」と計算されるのですが、
このポイントは「営業外収支」です。
「営業外収支」って何?という方もおられます。
この部分は、銀行との関係での
支払い利息ー受け取り利息
という関係が大多数を占めます。
「利息」という視点以外にも「手数料収入」というものもあります。
実は、これらは「意識」に基くものが大きいのです。
よく「放っておくと」という命題で、
・増えるもの・・在庫・仕掛・経費・売掛・クレーム・ミス・ロスetc
・減るもの・・売上・利益・生産性・信用・ブランド・やる気etc
と大別してお話しします。
放っておくと「増えるもの」は、必ず、資金に跳ね返りますので、
余計な利息を銀行にもって行かれてしまいます。
この代表格は「在庫」なのですが、
誰でも「在庫」は少ない方が良いという事は分かっているのですが、
倉庫に入るとデッドストック化した商品が
ナント多いかビックリします。
在庫を処分すると決算に響くという理由で、
後生大事に保管してあるのです。
何十年も保管すれば、間違って「希少価値」が高まるかも知れませんが、
ともかく、大事な「お金」が寝ているのです。
さらに、ビックリするのは、同じ品物が時期を変えて仕入れられて、
また、在庫になって残っているのです。
「売る」にしても「資材」に使うにしても、
在庫状況を金額でしか把握しないので、
ビックリする状況が出て来るのです。
業務改善の基本は「4S」(整理・整頓・清掃・清潔)です。
「整理」とは、要・不要をハッキリ区別することであり
「整頓」とは、いつでも取り出せる状態にすること
とトヨタ改善の先生に教わりました。
在庫や仕掛品を「ドロボー」って教えられました。
まさに、銀行に利息を持っていかれるのです。
(銀行がドロボーと言うのではない)
「整理・整頓」が出来ておれば、重複して購入することがないのですが、
結構、出来ていないのが現実です。
また、現場をよく見ている「管理・監督者」ならば、
「ソレ、あそこにある」
とピンとくるのですが、
現場を見ない方が多くて、こんな状況になるのです。
ところで、身近な話ですが、
「あなたの机に、何本の筆記具がありますか?」
と問うと、実は、私もビックリする位本数があります。
ボールペンもタイプの違うものがゴロゴロしています。
よく考えるとこんな所から「躾け」が必要なのかも知れません。
視点を変えて、
放っておくと「減るもの」を考えてみましょう。
信用やブランド(評判)は、なかなか計数化できないものです。
「80:20の法則」というものがありますが、
普段、小額の取引しかない80%の件数を占める取引先のことに
触れたいと思います。
CRM(Customer Relationship Management)というカタカナ語が
あります。
カンタンには、「顧客管理」というのですが、重要な部分です。
システム的には、SFA(Sales Force Automation)という営業支援
ツールと対になるケースが多いのです。
これらのCRMやSFAを駆使しても、
必ず、取り残されるのが全体の8割を占めるロング・テール層と
呼ばれる大多数の取引先があるのです。
自社と関係で、休眠化してロング・テール化してお客様もあるのです。
また、世代交代して「新しい切り口」で勢いついている会社もあるのですが、
まったく見えない状態になっています。
数年前に、銀行の指導を受けたお客様では、理路整然として
・年間取引額が○○万円以下は、営業活動しない
・1回の取引が○○円以下は、梱包手数料と運賃を幾らもらう
・粗利益が○○%以下は受注しない(お断りする)
という風な状況でした。
私は、「お客様は先輩たちが残してくれた財産なのだ!」と主張して
銀行の方とケンカした経験があります。
理路整然として「衰退」の道を歩んでいたのです。
「困った時ほど、人情の機微がわかる」と思うのですが、
一方的な自分都合で「冷徹」になっていたのです。
私は、「貸し借り」の情を大事にしたいと思うのです。
その注文は、自分にとってマイナスかも知れないが、
相手は、それで生き返るのかも知れないのです。
私の経験では、Oさんという営業マン(コンピュータフォーム)は、
相手の一番重要なフォームは、他社が手を出せない金額で納入して、
その他のフォームなどで儲けている事例を体験しています。
彼は、必ず、倉庫を見て他社の侵入をチェックするのですが、
「浮気するなら、○○のフォームも一緒に出してくれ」
と主張するのです。
一番重要なフォームですから、量も半端ではないのですが、
他社は、そんな値段では・・
と尻尾まいて逃げて行くのです。
「粗利ミックス法」という考えがあります。
1円のたまごを餌にして集客する方法は有名です。
客が来ないことには「定番」が売れないのです。
まして、他社にお客を奪われると大変なのです。
私は、「小さな案件や儲からない案件ほど大事にせよ」と教えています。
これは「異論」が百出すると思いますが、
「安易に負ける」
というのは、長い期間では命とりになるという信念をもっています。
「損して得をとれ」主義なのです。
相手も「損」していると分ってくれれば、こちらへの見方も変るのです。
こんな指導が少なくなっているのが危惧されます。
☆「第3の利益」のポイントとは?
第2の利益の箇所で、「レンガ積みの法則」に触れました。
終わりが見えないでする作業の効率を「1」とすると
目標を与えると作業効率は、ナント「1.6」に跳ね上がる
と書きました。
実は、さらに「1.6倍」になるケースがあるのです。
在庫や仕掛のことで現場を見ている人は「重複」をピンと見抜くと
書きましたが、
今度は、
自分が主体性をもつ
という点を書きます。
「人」の問題で一番困難なのは、自分の分身をつくる事です。
この「分身」づくりには
・心理軸(好感度)
・行動軸(参加度)
・伝播軸(スピーカー度)
の3つの視点があります。
「分身」づくりですから、まず第1の好感度という点が重要なポイントです。
嫌われているのに「分身になれ」はあり得ないのです。
好感を持っているかどうかの判定基準は難しい面がありますが、
日頃、応対する表情や理解度、提案度に表れると考えています。
もちろん、信用されて「偉くなりたい」という向上心が大切ですが、
これは、日頃の会話で「夢」を植えつけることが重要です。
次に「行動軸」なのですが、
カンタンに言えば、一緒に仕事する機会を多くする
ことになります。
「阿吽の呼吸」と言いますが、日常の仕事を通したコミュニケーションが
あって生まれるのです。
最後の「伝播軸」なのですが、
指示したことをよく考えて「腑に落ちる」まで理解して、
他人に話してくれる事です。
中には、そそかしい人がいて「全然、違う方向」に解釈して話す人が
いるのです。
本人には「悪意」は、まったくないのですが、そんな人(大臣でもいる)は
要注意です。
コンサルタントは社長さんの分身になるために
・心理軸(社長さんや社員の皆さんに好かれる)
・行動軸(途中経過などにも意識してコミュニケーションをとる)
・伝播軸(良いことを取り上げて、皆さんに披露する)
という3つの軸を大切にしています。
これは、営業も社員さんも同じです。
この「3つの軸」を覚えてください。
きっと、人生が変ると思います。
自分の「分身」が真の意味で育つと
「権限」を委譲して
その人に仕事を任せるようにして行くのです。
何度も経験させると「人は育つ」のです。
一度や二度ではムリというものです。
「権限」を意識するようになると
「責任」を感じてリーダーシップをハッキリと自覚する
のです。
前号の「切に生きる」にあった「志」が芽生えるのです。
こうなると1.6の1.6倍、すなわち、ひとの3倍働くようになる
のです。
途中で「権限」に疑問が湧いて、「志」がしぼまないように
上の者として言動に注意する必要があります。
この点、大切なので注意してください。
今回も長文になりました。
きっと、「よう分らんなぁ!」という声が多いと思います。
でも、どこか一つでもピンと来て頂ければ、ウレシイのです。
ヒマがあれば、もう一度、読み返してくださいね。
ありがとうございました。
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